はじめに

みなさんこんにちは!
4月から健康診断シーズンが始まります。
病院に犬が溢れるこの季節、私個人としては嫌いではありません。なぜなら比較的健康で久々に顔を見せてくれるかわいい犬たちに会える時期でもあるからです。
しかし、中には動物病院の待合室で震えたり、診察台の上で暴れたり、場合によっては獣医師や看護師に噛みついてしまう犬もいます。病院は知らない匂いや音、人が多く、犬にとって強いストレスがかかる場所です。
このような状況が続くと、飼い主さんも通院がストレスになり、病気の早期発見や治療が遅れる原因になりかねません。
そこで、動物病院でのストレスを軽減する方法のひとつとして「トラゾドン」というお薬がが処方されることがあります。
そんなわけで今回は
トラゾドンの作用や使い方
について詳しく解説します!
お悩みの方がいればぜひ最後までご覧ください!
トラゾドンとは?犬に使用する理由と効果

近年、犬の行動問題に対する薬物療法の選択肢として注目されているトラゾドン。本来は人間のうつ病治療薬ですが、獣医療でも広く使われるようになっています。このブログでは、トラゾドンの基本情報から犬への適用理由、注意点までを解説します。
トラゾドンの作用と作用機序
トラゾドンはセロトニン再取り込み阻害作用とセロトニン受容体拮抗作用を併せ持つ抗うつ薬です(Stahl, 2013)。本来は人のうつ病治療薬ですが、獣医療では犬の不安症や恐怖症の短期的な管理に使用されます(Gruen et al., 2017)。
犬に使用する主な理由
- 雷や花火などの音に対する恐怖症
- 分離不安(飼い主が不在の際の不安症状)
- 動物病院やトリミングサロンでの不安軽減
- 術後の安静確保(過度な活動防止)
- 長距離移動や旅行中のストレス軽減
- 他の行動療法の補助薬として
なぜ犬の不安症にトラゾドンが効果的なのか?
トラゾドンは脳内のセロトニン濃度を調整することで、情緒安定に重要な役割を果たします。急性の恐怖や不安に対して比較的速やかに(1~2時間程度)効果を発揮し、完全な鎮静ではなく軽度の鎮静効果をもたらすため、犬の意識や活動性を極端に落とさずに不安を和らげることができます。
トラゾドンの具体的な作用
- 不安や恐怖を和らげる
- 筋肉の緊張を緩め、落ち着かせる
- 鎮静効果はあるが、完全に眠らせるわけではない
- 行動療法と併用することで、学習効果を高める
副作用と注意点
トラゾドンは比較的安全な薬ですが、以下の副作用が見られることがあります(Plumb’s Veterinary Drug Handbook, 2023)。
- 軽度の鎮静(眠くなる)
- 運動失調(ふらつく)
- 胃腸症状(嘔吐・下痢)
- 稀にセロトニン症候群(高体温、震え、興奮など)
- 陰茎の持続勃起(特にオス犬で注意が必要)
注意:他の薬との相互作用
MAO阻害薬やSSRIなど、他のセロトニン作用薬との併用はセロトニン症候群のリスクを高めます。必ず獣医師に現在使用しているすべての薬を伝えてください。また、既往症(特に肝疾患、腎疾患、心疾患)がある場合は使用に注意が必要です。
トラゾドンの使用方法
- 投与量は獣医師の指示に従う(通常 2-5 mg/kg、1~2時間前に投与)
- 単独または他の抗不安薬(アルプラゾラム、デクスメデトミジンなど)と併用されることも
- 長期投与は避け、必要な時だけ使用する
- 効果が不十分な場合は、獣医師の指導のもと用量調整が必要
- 食後に投与すると胃腸への刺激が軽減される
トラゾドン使用の具体例
花火の季節に不安を示す柴犬(8歳・15kg)の例
毎年夏の花火大会シーズンになると極度の不安を示し、震え、過呼吸、隠れる行動が見られる柴犬に対して、獣医師がトラゾドン3mg/kgを処方。花火大会の予定時刻の2時間前に投与したところ、例年よりも落ち着いて過ごすことができました。完全に不安がなくなったわけではありませんが、恐怖のレベルが軽減され、飼い主の声掛けにも反応できる状態を維持できました。
行動療法との併用
トラゾドンは薬物療法単独ではなく、脱感作や拮抗条件付けなどの行動療法と併用することで最も効果を発揮します。薬の効果で不安レベルが下がった状態で適切な行動訓練を行うことで、長期的な改善につながります。
専門家のアドバイス
トラゾドンは「魔法の薬」ではありません。犬の不安や恐怖に対する総合的なアプローチの一部として位置づけ、環境管理や行動療法と組み合わせて使用することが重要です。また、犬の反応には個体差があるため、効果や副作用の観察を怠らないようにしましょう。
参考文献

Stahl, S. M. (2013). Stahl’s essential psychopharmacology: Neuroscientific basis and practical applications. Cambridge University Press.
Gruen, M. E., et al. (2017). The use of trazodone to facilitate post-surgical confinement in dogs. Journal of the American Veterinary Medical Association, 250(11), 1325-1333.
Plumb’s Veterinary Drug Handbook (2023). 10th Edition. Wiley-Blackwell.
復習問題

それでは問題を解いてみましょう!
トラゾドン知識チェック
クイズを読み込んでいます…
適切に使用すれば、不安を和らげ、診察や治療がスムーズに進む可能性があります。ただし、必ず獣医師の指示に従い、用量・頻度を守ることが重要です。
愛犬の通院ストレスを軽減し、健康管理をよりスムーズにするために、トラゾドンの活用を検討してみてはいかがでしょうか?
また、薬はちょっと…という方はジルケーンというサプリもあります。こちらもご検討ください。↓
それではまた👋
最後まで見ていただき
ありがとうございました!
YouTube、Xでも情報発信していますので
よければこちらもよろしくお願いします!
・YouTubeチャンネル
・Xアカウント
・今回ご紹介する商品