高齢猫に多い変形性関節症、最新治療のソレンシアから日常ケアまで

みなさんこんにちは!

前回は猫の変形性関節症についてご紹介しましたね。

簡単に言うと様々な原因で全身の関節に炎症が生じてくる病気です。

前回は疾患を意識するための6つのチェックリストとその原因を中心に解説させていただきました。

そんなわけで今回は

猫の変形性関節症の予防・治療編

となります。

さっそく問題から行きましょう!

猫の変形性関節症クイズ
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猫の変形性関節症クイズ
不正解だと思うものをクリック!

【Q1】 関節症の予防法として “適切でない” のは?

解説:
① 適切な体重管理③ 適度な運動 は負担軽減&筋力維持に必須。
たんぱく質おやつの過剰は肥満→関節症リスク増大です。

【Q2】 関節にやさしい住環境づくりで “推奨されない” のは?

解説:
激しいジャンプは関節への衝撃が大きく悪化要因に。
段差を減らし、滑らない床材やスロープを活用しましょう。

【Q3】 関節症予防の運動管理で “誤っている” のは?

解説:
低負荷・高頻度の遊びが基本。
長時間の激しいジャンプ・ダッシュは軟骨へ大きなストレスを与えます。

いかがでしょうか?

以前に肥満についてご紹介したことがありましたね。

ペットの体重管理は飼い主の皆さんの手にほぼ委ねられていると言っても決して過言ではないでしょう。

なぜなら獣医師は治療プランの提案はできても、最終的な決定はできないのです。

ペット用のリードが欲しければペット用品店やネットで注文しますよね?

トリミングはトリミングサロンに行ったりするはずです。

獣医師も同じで、あくまで病気の診断、治療を補助するためのツールです。

ペットの健康を守るのはあくまであなた自身なのです。

あなたを見つめる家族の視線は可愛いですよね?

わかります。

しかし、家族の健康を守るには時に心を鬼にする必要もあるのです。

すみません。話が脱線しましたね。

それでは以下で関節炎の予防や治療について軽く触れます。

ぜひ参考にしてくださいね。

猫の変形性関節症の治療・予防法

目次

1. 薬物療法

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)

炎症を抑え、痛みを軽減する一般的な治療法です。ただし、猫はNSAIDsの代謝が遅いため、慎重な投与が必要です。
注意点: 長期使用は猫の腎臓や肝臓に負担をかける可能性があります。獣医師と相談し、適切な用量で使用することが重要です。
(参考: Lascelles et al., 2007)

ソレンシア(Solensia)

www2.zoetis.jp

神経成長因子(NGF)を遮断することで、痛みの信号を抑える画期的な治療法です。
月1回の注射で効果を発揮し、腎臓や肝臓への負担が少ないとされています。
慢性疾患を抱える猫にも使用可能であり、従来のNSAIDsとは異なる作用機序を持ちます。
(参考: Zoetis, 2025)

ソレンシアの役割と他の治療法との比較

  • 慢性腎疾患を持つ猫: NSAIDsに代わる安全な選択肢
  • 投薬が難しい猫: 月1回の注射で済むため、飼い主の負担が軽減

ただし、すべての猫に適用できるわけではありません。獣医師と相談し、他の治療法と組み合わせることで最適な結果を得られます。

2. サプリメント・栄養管理

グルコサミンやコンドロイチン

関節軟骨の修復を促進する効果が期待されるサプリメント。早期からの使用が推奨されます。
(参考: Beale, 2004)

高品質なフード

  • ロイヤルカナン バイタルアシストシリーズ(オメガ3脂肪酸や抗酸化成分配合)2025年1月現在、猫用のドライフードで「関節専用」と謳っているものは存在しないみたいです。ただし、高齢期の猫用や、一部腎臓用フードには関節の補助となる成分が多めに含まれているものが出ています。EPA/DHA(オメガ3脂肪酸)や抗酸化作用を持つ成分がそれに当たります。これらは関節の炎症を抑え、健康をサポートするように設計されている商品です。動物病院で処方してもらいましょう。

3. 環境の工夫

  • 段差を減らし、高い場所にはスロープを設置する。
  • トイレや寝床を低い位置に配置し、猫が楽に移動できるようにする。
  • 適度な運動と体重管理を心がける。

参考文献

  • Lascelles BD, et al. (2007). “NSAIDs and chronic pain management in cats.” Journal of Feline Medicine and Surgery.
  • Zoetis (2025). “Solensia: A novel monoclonal antibody for feline OA pain management.”
  • Beale BS. (2004). “Use of nutraceuticals for osteoarthritis in companion animals.” Veterinary Clinics of North America.
さいごに
獣医療の進歩は日進月歩です。
優秀で熱意のある方々が日夜多くの製品を生み出しています。
ただし、製品の中にはもちろん効かないものもあります。
使い方が間違っていたり、製品自体の効果が薄かったりその理由は様々です。
だからこそ獣医療従事者が存在するのだと思っています。
世に出た有効な製品ををいち早く把握して、みなさんに適切な提供をするのが私たちの仕事だと思います。
ですので、皆さんも使い方が迷っているサプリや商品があれば、まずは動物病院で聞いてみることをオススメします。
餅は餅屋です。
道具や薬は適切に使用して、一緒に大切な家族の健康を守りましょう!

最後まで見ていただき

ありがとうございました!

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